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日本の育成とは真逆?

  • 執筆者の写真: kuukan
    kuukan
  • 1 日前
  • 読了時間: 5分

止まってプレーすることを評価できるか?(日本の育成)


2026年6月29日(現地時間)、ヒューストン・スタジアムで行われたFIFAワールドカップ2026決勝トーナメント1回戦、日本代表vsブラジル代表。試合は1-2で日本が逆転負けを喫し、ベスト32で大会を終えた。

だが試合後に発表されたスタッツは、ある一つの問いを改めて突きつけてくる。


「オリーゼやペドリのような選手は、日本で育つことができるのか?」

ブラジル戦における前田大然選手の驚異的なフィジカルデータと、フランス代表オリーゼ、スペイン代表ペドリのプレースタイル・データを比較しながら、日本サッカーが構造的に依存してきた「強さ」の正体と、その先にある育成の課題を考えていきたい。


ブラジル戦、前田大然が記録した「異次元」のスタッツ

ブラジル戦で前田選手が記録したデータは以下の通りだ。

項目

数値

走行距離

12.04km(チーム最高)

スプリント回数

78回(両チーム最多)

トップスピード

33.2km/h

出場時間

約96分(終了間際に交代)


グループステージを含めた大会全体のデータでは、出場時間がわずか156分(オランダ戦・スウェーデン戦の2試合分)であるにもかかわらず、計161回のスプリントを記録。これを90分換算すると「92.9回」という数値になり、大会のスプリント総数1位だったサイバリ選手(モロッコ、81.5回)はもちろん、レロイ・サネ選手(ドイツ、64.9回)やヴィニシウス・ジュニオール選手(ブラジル、56.6回)といった世界トップクラスの快足ウインガーたちを大きく上回る、大会随一の数値だった。

ブラジルメディアが「彼は二人いるのか」と評したように、前田選手の運動量は紛れもなく世界レベル、いやそれ以上だ。これは日本サッカーが誇るべき財産であり、本人の「プロサッカー選手になってから自分よりも足が速いと感じた選手はいない」という言葉にも説得力がある。


ペドリとオリーゼ 「止まったまま支配する」選手たち

一方、スペインのペドリ(バルセロナ)、フランスのオリーゼ(バイエルン)は、前田選手とは全く異なるタイプの「世界クラス」を体現している。


ペドリ(身長174cm) 21年シーズン途中からバルセロナの中心選手となり、25/26シーズンもラ・リーガで2ゴール9アシストを記録するなど、攻撃の組み立てにおいて中心的な役割を果たしている。武器は卓越したポジショニングとボールの置き所、そして相手を一瞬で外すターン技術。走行距離やスプリント数で目立つタイプではなく、「動かずに時間とスペースを支配する」選手だ。174cmという、日本の基準で見れば決して大柄ではない体格でありながら、世界最高峰のミッドフィールダーの一人に数えられている。


オリーゼ(身長184cm) バイエルン・ミュンヘンで24-25シーズンに50試合17ゴール18アシストという圧倒的な数字を残した左利きのアタッカー。武器は左足の精度とドリブルでの仕掛け、そしてラストパスの質。184cmと長身ながら、評価されているのはフィジカル的な強さではなく、ボールを持った時の技術的な引き出しの多さだ。

両者に共通しているのは、評価の軸が「身体的な強さ」ではなく「技術・判断・創造性」にあるという点だ。


日本サッカーは「走る・速い・高い」にもたれかかっていないか

前田選手のスタッツは間違いなく称賛に値する。

だが同時に、ここで立ち止まって考えたいことがある。

日本代表が世界相手に通用する根拠として語られる選手の特徴を振り返ると、「走行距離」「スプリント数」「フィジカルの強さ」「空中戦の高さ」といった、数値化しやすく、努力や規律によって積み上げやすい能力に偏っていないだろうか。

実際、ブラジル戦のあるレビューはこう指摘している。日本は「走り負けた」のではなく「走らされ続けた」

ブラジルはボールを動かしてサイドを変え、日本の守備ブロックを揺さぶり続けることで、日本の運動量を「守備のための消耗」へと変換した。前田選手のスプリントも、攻撃の武器であると同時に、相手にコントロールされた末の「走らされた回数」という側面を持っていたという見方だ。

ここに、日本サッカーが抱える本質的な課題が透けて見える。

ペドリやオリーゼのような選手は、走らされない。ボールを持った時間、止まっている時間の中で、相手の状況を読み、最少の動きで最大の効果を生み出す。彼らの「強さ」は走力測定では現れず、判断のスピードと質、そして自分で局面を打開する創造性の中にある。

日本の育成現場で、こうした「止まっていても支配できる選手」「数値化されない判断力を持つ選手」は、果たして正当に評価され、伸ばされているだろうか。


「規格外」が生まれる土壌をどう作るか

前田選手自身、不慣れな左ウイングバックでの起用に苦しんだ時期を乗り越え、2列目に離脱者が相次いだ今大会で左シャドーに入ったことで本領を発揮したという経緯がある。

これは裏を返せば、彼の特徴である「常に判断を伴う飽くなき動き」が、ポジションやシステムという枠の外側にあったということでもある。

ペドリやオリーゼのような選手を日本の育成システムが生み出せるかという問いに対する答えは、おそらく「身体能力の優劣」の話ではない。むしろ、

  • 子どもたちに自分で判断する機会をどれだけ与えているか

  • 「止まってプレーする」ことを技術として評価できているか

  • 走力や身長といった分かりやすい指標だけでなく、創造性や駆け引きを育成の核に据えられているか

という、コーチングの哲学そのものの問題だ。


「驚きを生む選手が、驚きのあるサッカーを作る」

この言葉の通り、規格外の発想と判断力を持つ選手は、規格通りの練習メニューと指示型コーチングからは生まれにくい。前田選手の素晴らしい運動量を称えると同時に、私たちは「次のペドリ」「次のオリーゼ」を日本から輩出するために、選手の自主性と創造性を信じて委ねる勇気を、育成年代から持てているかを問い直す必要があるのではないだろうか。


今の日本の育成でパウサで評価されることはほぼないのではないか?

背が高い、足が速い、守備を頑張るの3本柱の育成。

今回のW杯では、オリーゼの圧倒的パフォーマンス。

『巧さ』

footballの醍醐味を感じられた。



 
 
 

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